タイムシェアや会員制リゾートの不動産共有制の「出口」問題のうち、事業者としての「出口」つまり事業の終了について考えます。
タイムシェアと会員制リゾート事業の出口について
(事業者の出口について ~事業はいつまでつづくのか?~)
「タイムシェアと会員制リゾート事業の出口について①」では、2つの「出口」があることについてお話ししました。
- 会員としての「出口」 :
不要になった権利はすぐに手放せる? - 事業者としての「出口」:
会社は事業からすぐに撤退できる?
前の記事では会員の「出口」について述べました。
今回は、事業者の「出口」、すなわち、事業はいつまでつづくのか、ということについて考えます。
会員権販売はコスパが良い
タイムシェアや会員制リゾート事業を行うにあたり、不動産共有制の権利形態を採用し、その権利(共有持分付会員権)を分譲(販売)することは、一見儲かるビジネスかもしれません。
なぜなら、1部屋を専有分譲するよりも、小口化した共有持分を販売した方が、物件価格や管理費を割高に設定しやすいからです。
特にリゾート物件は、1部屋を専有しても賃貸等の需要が見込める可能性は低いです。購入する側にとっても、小口化した共有持分のようにできるだけ費用を抑えて楽しめるようなものを求めています。
結果的に、1口当たりの金額が割高でも、購入者にとってはコストパフォーマンスに優れていると感じるのでしょう。
それが「リゾートシェア」の発想の元となり、事業者・購入者(会員)双方ともメリットを共有できる画期的な仕組みであるのです。
事業のリスク
ただし、このウィン・ウィンの仕組みは事業がうまく回っていることが前提です。
施設の老朽化、会員による管理費未払いが増加、あるいは、他の事業の赤字を埋めるために施設の修繕に充てる資金の流用など、事業者として不測の事態が発生するリスクは、皆無であるとは限りません。
実際に、事業者が経営破たんし、残された会員が「自主管理」している国内会員制リゾートも存在するのです。
期限のある会員権もある
そこで最近では、施設の敷地が借地のために、土地の権利に定期借地権を設定し、「クラブの存続期間が開業後50年まで」とするクラブがあります。
また、20年あるいは30年等とあらかじめクラブの有効期間を設定して、不動産を伴わない利用権方式の会員権を販売する事業者もいます。
会員だけでなく事業者としても、事業を永遠に継続することは約束できません。
ですから、「クラブの運営期間は有限」として、事業の出口を予め設定する方式を採用する事業者も現れてきたというわけです。
まとめ
タイムシェアや会員制リゾートの不動産共有制について2つの「出口」問題を考えました。
特に、タイムシェアや会員制リゾートの購入をお考えの場合は、会員の「出口」と事業者の「出口」のそれぞれを意識してみることをおすすめします。
少々難しい話でしたので、次の記事でポイントをまとめました。
「タイムシェアと会員制リゾート事業の出口について まとめ」をご覧ください。
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