タイムシェアや会員制リゾートなど不動産共有制の「出口」問題のうち、会員としての「出口」つまり、会員権を手放すときのことについて考えます。
タイムシェアと会員制リゾート事業の出口について
(会員の出口について ~会員権を手放すとき~)
「タイムシェアと会員制リゾート事業の出口について①」では、2つの「出口」があることについてお話ししました。
- 会員としての「出口」 :
不要になった権利はすぐに手放せる? - 事業者としての「出口」:
会社は事業からすぐに撤退できる?
今回は、会員の「出口」、つまり、何らかの事情が発生するなどして、会員権を手放すことになったときのことを考えてみます。
某リゾートマンションの価格
国内のリゾートマンションを例に挙げて、具体的に考えてみましょう。
なぜ安くなるのか?
突然ですが、問題です。
築29年で温泉大浴場などの共用施設が付いた2DK(51㎡)の湯沢のリゾートマンションが、
- 物件価格:50万円
- 月管理費:約3万円
で売りに出ています。(物件情報は不動産仲介会社「ひまわり」のHPを参照)
50万円というのは、安価な中古車や会員権の並みの価格です。
しかも、RC造の住戸として再調達価格で積算すれば、原価にもならない超破格です。
では、なぜ物件価格が50万円なのでしょうか。
2つの理由
結論を先に申し上げると、2つの大きな理由が考えられます。
- 「不動産」であること
- 「流動性が乏しい ≒ 人気がない」ということ
不動産の所有権とは
前回、少し触れましたが、不動産を持つという所有権は、誰にも邪魔されない強い権利です。
その反面、所有している間ずっと、その所有物の管理責任を負うことになります。(権利と義務の関係は表裏一体)
以上のことを踏まえて、湯沢のリゾートマンションがなぜ50万円なのかを簡単に検証してみましょう。
なぜ価格が下がるのか?
ここまで価格が下がった理由は、以下のように説明することができます。
『最初は500万円くらいで売りに出したが、なかなか買い手が付かないため、売主が価格を徐々に下げていき、現在の50万円となった。』
なぜここまで価格を下げるのでしょうか?
それは、「所有者の管理責任=管理費等の支払い義務」をマンションを売却(譲渡)しない限り負い続けなければならないことが、大きな理由と推測されます。
都心の人気マンションであれば、このようなことは考えらないでしょう。
しかし、流動性が乏しく人気のない不動産を所有すると、資産価値が低いだけでなく、管理責任が大きな足かせとなってしまうのです。
日本人の不動産に対する意識
日本は、小さな国土に1億人以上が暮らしています。そういった背景の島国民族がゆえ、土地やマンションといった不動産を所有することはとても価値がある、という意識が知らずに染みついている傾向があります。
ですから、利用権制や預託金制といった登記がされない会員権よりも、不動産共有制の会員権に信頼を抱くのかもしれません。
会員権の出口に留意
では、会員権を購入時や、すでに購入している場合には、どのようなことに留意すればよいのでしょうか。
会員権の購入時に注意すること
不動産や不動産共有制の会員権を購入するときは、「流動性のある≒人気のある」ものを選ばないと、その管理責任の負担から、「出口」(=売却・譲渡)に苦労することになりかねません。
将来の「出口」を十分意識して、物件を選定されることをおすすめします。
すでに会員権を所有している場合
すでに不動産共有制の会員権を所有されている場合で「出口」が心配という方は、事前に会員権を手放す方法をクラブに確認しみましょう。
また、定期的に仲介会社等で現在の相場や需要・人気等を聞いてみるのもよいかもしれません。
次の記事では、事業者の出口についてお話しします。
「タイムシェアと会員制リゾート事業の出口について③」につづきます。
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