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米マリオット コロナ禍でも黒字の理由

東京マリオット

2021年10月12日の日本経済新聞の記事によると、米マリオットは黒字を確保したということです。その記事をふまえて、マリオットがコロナ禍でも黒字となった理由について、会社員時代にホテル運営のコンサル業務にも携わっていた経験をもとに、分かりやすく解説します。

米マリオット コロナ禍でも黒字の理由

2020年度は赤字決算のホテル経営会社が相次ぐ中、米マリオットは大幅減収でも黒字を確保したという記事が2021年10月12日付の日本経済新聞朝刊に掲載されました。

なぜマリオットがコロナ禍でも黒字となったのか。マリオットの堅実な運営スタイルについて分かりやすく説明することで、その理由を解説していきます。

東京マリオット エグゼクティブルーム ベッド↑東京マリオット

 

米マリオットが黒字

2021年10月12日付の日本経済新聞に、米マリオットについての記事が掲載されました。

人流停止という未曽有の事態が直撃したホテル業界で、最大手の米マリオット・インターナショナルは黒字を確保した。

出所:2021年10月12日付 日本経済新聞朝刊

 

コロナ禍でも黒字の理由

新型コロナウイルス感染症拡大はホテル業界に大打撃を与え、多くのホテルが赤字に陥りました。

それにもかかわらず、なぜマリオットは減収したものの黒字を確保できたのでしょうか。

 

ホテルをほぼ所有しないアセットライト戦略による低コスト経営が不況抵抗力を生んでいる。

出所:2021年10月12日付 日本経済新聞朝刊

 

アセットライト」というのは、”asset light” つまり、「asset =資産を light =軽くする」ということです。

どういうことなのか、具体的に説明していきます。

東京マリオット ダイニングG 朝食

 

ホテル事業の3つのスタイル

まずはじめに、ホテル事業のスタイルについて簡単にお話しておきます。

ホテル事業には、大きく分けて「一体型」「賃借型」「運営型」の3つのスタイルがあります。

ホテル事業の3つのスタイル
  • 一体型
  • 賃借型
  • 運営型

 

一体型

「一体型」というのは、ホテル会社が土地を購入してそこにホテルを建設し、その後運営をしていくという、所有と運営(経営)が一体であるスタイルです。

土地・建物の費用と開業後はすべての経費を負うことになりますが、利益はすべて自社のものとすることができるので、3つのスタイルの中では最もハイリスク・ハイリターンとなります。

 

賃借型

「賃借型」というのは、土地と建物のホテル不動産を所有する会社や個人オーナーからホテル会社が借り受けて経営していくスタイルです。

ホテル会社は毎月約束した賃料をオーナーに支払い、オーナーは長期的に安定した賃料収入が見込めます。賃料は長期固定方式の契約が多いですが、固定+売上変動方式もあります。

ホテル会社としては、宿泊客が多ければ利益は増えますが、宿泊客が減ってもオーナーに約束した賃料を支払わなければなりません。ミドルリスク・ミドルリターンといったところでしょうか。

ファンドやリートがホテルを所有する場合は、この方式が用いられます。

 

運営型

「運営型」というのは、土地と建物のホテル不動産を所有する会社がホテルの経営にも基本的に携わり、ホテル会社が運営ノウハウやブランドの供与を行うスタイルです。

ホテル会社に属する経験豊富な専門コンサルタントが定期的に現地に赴き、現場スタッフの指導等を行うこともあります。

この場合、ホテル会社は主に運営受託費を報酬として受け取ります。

 

3つのスタイルの収益性とリスク

上記のスタイルで一番収益性が高いのは「一体型」、次に「賃借型」、最後に「運営型」となります。

つまり、新型コロナウイルス感染拡大前の、訪日外国人観光客がどんどん増えていた時期では「一体型」が最も儲かっていました。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、この「一体型」のスキームは、当初の事業計画から大きく狂ってしまうことになりました。なぜなら、客が来なくても所有コストと人件費が発生し続けてしまうからです。

その反面、「運営型」は上記のスタイルの中では利益は低いのですが、所有リスクや賃料負担がないため手堅いスキームとなるのです。

 

マリオットは運営型

マリオットはこの「運営型」のスキームによるホテル事業を行ってきたため、コロナ禍でも黒字となったということなのです。

マリオットがこの「運営型」に特化している様子は、国内にあるマリオットグループのホテルを利用するとよく理解することできます。

 

たとえば「リッツカールトン日光」の場合、ホテルの所有者は東武鉄道です。

また、「大阪マリオット都ホテル」は、現地にて「マリオットのライセンスに基づき近鉄ホテルズが運営をしている」との案内があったと記憶しています。建物も現地の運営スタッフも近鉄グループが用意して、マリオットは運営のノウハウとブランドの供与のみ行っているということが分かります。

おそらく「マリオット名古屋アソシアホテル」におけるJR東海グループとマリオットの関係も同様でしょう。

名古屋マリオットアソシアホテル 客室↑名古屋マリオットアソシアホテル

 

運営型は低リスク

このようにマリオットの事業スタイルは、ホテルの建物も人(ホテルスタッフ)もマリオットからは出さない、という極めてリスクの小さい運営型なのです。もはやフランチャイズ型といっても過言ではないと思います。

 

さらに新聞記事にはこのような内容も書かれていました。

総資産に占める有形固定資産の比率は9%でハイアット(40%)とプリンスホテル(88%)より突出して低い。

出所:2021年10月12日付 日本経済新聞朝刊

 

「有形固定資産」というのはホテルの建物や土地などのこと。

マリオットが実際に所有するホテルは日本のホテルと比較するととても少ないことがわかります。これがマリオットのアセットライト(=資産の軽量化)戦略というわけですね。

資産が少ないため所有コストがかからず、未曽有の不況化でも黒字が確保できたのです。

 

まとめと感想

米マリオットが黒字を確保した理由について解説しましたが、お分かりいただけたでしょうか。

この記事のまとめ
  • ホテル事業の3つのスタイル:「一体型」「賃借型」「運営型」
  • マリオットは「運営型」
  • マリオットは資産保有が極めて少ないためコストがかからずリスクが低い

 

名古屋マリオットアソシアホテル 建物外観↑名古屋マリオットアソシアホテル

この記事が掲出される前から、マリオットはあまりコロナの影響を受けていないという話は耳にしていました。

私は、それを聞いてすぐに「マリオットが手がけるホテル事業は運営業務に特化しているのではないか」と推察したのですが、その通りのようでした。

世界最大のホテル会社という印象の強いマリオットですが、実は石橋を叩いて渡るようなとても手堅い経営戦略のもと、長い年月をかけてそのブランド力を築いてきたということが、今回の新聞記事により改めてよく理解できました。

 

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